茶碗を洗う
水の音
いちりんざしの
うしろ姿

明り障子の
まぶしさに
瞳を閉じる
春のくに

朝霧色に
そっと包んで
千代紙細工の
箱にしまう

樟脳の香
やがて悲しき
祖国という
おとぎばなし


(スティルライフ)
c X-YELLOW 1996-2005